脳挫傷で遷延性意識障害になり、「神経系統の機能に著しい障害を残し、常に介護を必要とするもの」として自賠責後遺障害等級別表第一第1級1号が認定された事例

(事故と障害の内容)

ご依頼者様(80代女性)が自転車で交差点を走行中に左の方から来た車と衝突をして脳挫傷になりました。

(ご依頼の経緯)

後遺障害認定後、保険会社から約3000万円の示談提示があり、被害者のご家族の方が、その額が妥当かどうか疑問を持たれてご相談に来られました。

(受任後の活動)

(1)保険会社の示談提示額

保険会社の示談案の金額は明らかに低い金額でした。また、保険会社は過失相殺を15%としていましたが、この過失割合も不当でした。

(2)被害者の様態

被害者の方はいわゆる植物状態でした。弁護士は、依頼者から直接依頼を受けて活動をしますが、植物状態の方は依頼の意思を告げることができません。

その場合、まずは被害者の方に代わって意思決定ができる成年後見人を選任しなければなりません。
家庭裁判所に成年後見の申し立てをして、成年後見人からご依頼を受けました。

(3)後遺障害

後遺障害1級は高額事案であるため、基本的に話し合いで解決することは困難です。そのため、訴訟提起をしました。訴訟では、
① 将来介護費
② 休業損害と逸失利益
が主な争点でした。

(4)将来介護費

被害者の方は寝たきりですが自宅介護ではなく、事故後ずっと病院介護であり、今後も病院介護を続ける可能性が高い状態でした。

症状固定後の治療費(入院費)は、都道府県からの福祉制度を受けていたため、実負担額は月々約6万円でした。月々6,7万円という金額を前提にした場合、将来介護費はさほど多くなりません。

しかし、この福祉制度がずっと続くとは限らず、もしこの福祉制度が廃止または変更になった場合、多額の治療費の負担が生じます。

そこで、そうした点を主張し、文献として『平成16年版「赤い本」下巻・高取真理子裁判官の「重度後遺障害に伴う諸問題~将来の会議費用を中心として」を提出しました。
裁判所の和解案では、病院介護を前提にしながらも、1日5000円の将来介護費(合計約800万円)が認められました。

(5)休業損害と逸失利益

被害者の方は主婦でしたが、保険会社側は、80代の主婦であれば、被害者が行っていた家事は、夫を支えるものではなく、もっぱら自らの生活のためであるため、主婦としての評価をすべきでないと主張して来ました。

しかし、被害者の夫は、本件事故当時まだ働いていたので、被害者の方は収入のある夫のために家事を行っていたと主張しました。裁判所和解案では、概ねこちらの主張が認められた案が提示されました。

(結果)

裁判所和解案が5000万円で、その額で和解をしました(2000万円の増額)。

(解決のポイント)

後遺障害1級の事案は、賠償金も高額になるため専門家に依頼して訴訟をしたほうがよいです。将来介護費について、文献をもとにしっかりと主張をしていくことがポイントです。

 

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