弁護士坪井俊郎の交通事故体験記④~症状固定と後遺障害等級認定~

※この記事は、神戸ライズ法律事務所の所長弁護士 坪井俊郎が過去、自身が体験した交通事故に基づいて体験談を記しています。はじめからお読みになる場合はこちらから>>

1 保険会社からの治療費打ち切り

11月上旬になって、保険会社から連絡がありました。なんと、「12月で治療を終えてほしい」とのこと。
理由が「むち打ちの場合、75%は3カ月で、90%は6カ月で通院終わるという統計がある」でした。
いやいや、横転事故ですよ。まだまだ痛みと痺れありますよ。

軽微事故であれば3カ月程度で治るかもしれませんし、多くは6カ月で終わるかもしれませんが、明らかに残りの10%に入る部類でしょう。。。事故日が7月30日ですから12月末でも約5か月しか経っていません。
たとえ弁護士といっても、保険会社の被害者に対する扱いはこんなものなのです。とはいえ、私も交通事故が本職の弁護士ですから、「はい、わかりました」と答えるわけもありません。この場は「医師と相談の上、またご連絡いたします」と答えます。
次の診察の時に、医師に「保険会社がこんなこと言っていますけど、まだ治療が必要ですか?」と聞いたところ、医師は快く「まだ治療は必要です」と答えてくれました。

12月になってまた保険会社から電話があったので、私が「まだ痛みと痺れがあります。医師に相談したらまだ治療が必要とのことでした。12月での治療終了は難しいです」と言ったら、保険会社は「画像に異常所見もないのでそろそろ・・・先生もお分かりかとは思いますが。次に医師の診察の際に経年変化か外傷性所見かを聞いてください。12月が難しいようであれば、なんとか1月末でお願いできないでしょうか」と言ってきました。
1月末で事故から6カ月ですので、後遺障害申請の条件は一応クリアしていますが、まだ治療を続けたいです。

事案によりますが、保険会社が〇月で治療を終えてくださいと言ってきた場合、「あと1カ月だけ伸ばして下さい」と言ったら、1カ月だけでしたら伸びることが多々あります。
そこで、1月になって保険会社から連絡がありましたので、私が、「医者とも話をしましたが、まだ通院は必要とのことです。ただし、2月末には終わります」といったところ、保険会社が「分かりました。では、2月末まででお願いします。治療最終日にご連絡をください」と、2月末までの延期を認めました。

とはいえ、事故から7カ月で打ち切りですから、保険会社って被害者のことを真剣に考えているとは思えません。まあ、保険会社も株式会社であり、利益を出さなければならないので、営利企業としては正しい姿なのかもしれませんが。

 

2 打ち切り後~後遺障害診断書作成

2月末で治療費を打ち切られました。その後は、健康保険を使って引き続き治療を継続しました。
痛みと痺れがあるからリハビリを継続するという目的もありますが、私が扱ってきた事案の統計上(正式な統計ではなく感覚値ですが)、治療期間と治療日数が多いほど後遺障害が認定されやすいからです。

4月になり、念のため右肩のMRIも撮ってみたら、右肩棘上腱変性損傷がありました。肩は1.5テスラではなかなか異常が見えないのですが、縁があって3テスラのMRIで撮影することが出来ました。

以下が右肩MRI画像で、赤い〇で囲った中にある黒い点が損傷箇所です。

 

 

その後、5月末まで治療を続けて、症状固定としました。
後遺障害診断書が以下の通りです。

 

 

記載事項については、私の方から医師に「こんな感じで書いてください」って頼んで書いてもらっています。もちろん、ありもしない虚偽の情報の記載はお願いしていません。

平成28年7月30日から平成29年5月30日までの10カ月間で、最初に救急搬送された病院やMRIを撮った病院等も含めて、合計で131回通院しています。

 

3 後遺障害認定

「頸部痛」「右上肢痺れ」「右肩痛」で、後遺障害の申請をしました。任意保険会社に任せる事前認定ではなく、自ら自賠責保険会社に申請する被害者請求で申請を行いました。
結果、無事(?)に、頸部痛と右上肢痺れで「局部に神経症状を残すもの」として14級9号が、右肩痛についても「局部に神経症状を残すもの」として14級9号が認定され、併合14級となりました。

 

 

 

後遺障害の認定が終わり、残るは慰謝料等の賠償の交渉のみとなりました。(続きます)

 

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