頭部外傷(高次脳機能障害)を負われた方へ

目次

頭部外傷(高次脳機能障害)相談室

頭部を強打されて頭部外傷(脳損傷)になった場合をご説明いたします。

1 頭部外傷(脳損傷)の症状~遷延性意識障害と高次脳機能障害

頭部外傷を負い、脳を損傷した場合、意識が戻らないことがあります。また、もし意識が戻っても脳損傷が原因で様々な支障が出る場合があります。

意識が戻らない場合を「遷延性意識障害」と言います。(>>遷延性意識障害のページはこちら
いわゆる植物状態のことです。

意識が戻っても脳に障害が残る場合、高次脳機能障害が疑われます。
高次脳機能障害とは、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害等の認知障害によって、社会的な生活が困難となった状態をいいます。(>>高次脳機能障害のページはこちら

例えば、以下のような症状があります。

・物の置き場を忘れる、新しいことが覚えられない

・一つの物事に集中できない

・指示されないと行動を開始できない

・状況に応じた行動や感情をコントロールできない

・以前に比べて怒りっぽくなった

・スーパーなどで同じ場所を何度も回る

・料理をするときに複数のことを同時にすることができなくなった

・言葉を発語しようとしてもその言葉が思い出せなくなった(リンゴを見ても「リンゴ」ということは分かるものの「リンゴ」という単語が思い出せない。失語症と言います)

 

高次脳機能障害は、本人の自覚症状がない場合が多く(病識欠如といいます)、見落とされがちであるため、ご家族の協力が必須と言えます。

 

2 頭部外傷(脳損傷)の治療の注意点(リハビリと検査の重要性)

遷延性意識障害と高次脳機能障害に共通することですが、最終的な示談や裁判に向けて、治療の初期から介護状態を記録する必要があります。

いつ病院へお見舞いに行ったのか、ということは手帳に書いておきましょう。病院での被害者のご様子や医師の発言内容もできるだけメモに残しておきましょう。
消毒液やおむつなどの物品を購入した場合、領収書は必ず保存しておきましょう。
自宅での介護可能か病院介護になるのかということについても、医師の意見を聞かなければなりません。

高次脳機能障害の場合、早期に適切なリハビリや検査、医証の収集が必要です。

高次脳機能障害を専門に扱っていない病院だと、専門的な治療やリハビリをしないこともあります。

しかし、リハビリを早期に開始すればするほど回復が良いと言われているので、高次脳機能障害のリハビリを専門に行っている病院に行きましょう。

また、入院先の病院は、脳の手術等は行いますが、知能検査(神経心理学的検査)はあまり行わないところが多いです。ところが、後遺障害認定の際には、この知能検査(神経心理学的検査)の結果が重要視されます。
そのため、できるだけ早期に知能検査(神経心理学的検査)を病院で行うか、その病院では行わないのであれば、別の病院で検査をしてください。

また、事故時に意識消失があったかどうかという資料は早期に作成する必要があります(救急搬送された際に診察した医師が転勤などする可能性がありますし、医師も当時の状態をどんどん忘れるからです)。

 

3 頭部外傷(脳損傷)に強い弁護士とは?

交通事故が不得意な弁護士であれば、遷延性意識障害や高次脳機能障害のことは、あまり詳しくない弁護士が多いと思います。

また、交通事故が得意であると表記している弁護士であっても、遷延性意識障害や高次脳機能障害に精通しているとは限りません。

頭部外傷(脳損傷)に強い弁護士とは、治療の初期から画像検査や各種検査を踏まえた上で、適切な後遺障害等級の認定を受けるために必要な治療や検査内容・診断書の作成を被害者やご家族に伝えることができる弁護士のことです。

また、後遺障害認定のみならず、損害賠償についても裁判基準で適切な額を主張・立証できる弁護士のことです。

 

4 当事務所は頭部外傷(脳損傷)に強い事務所です

当事務所では、交通事故事案を中心に扱っており、その中でも頭部外傷(脳損傷)の事案に注力しています。
遷延性意識障害や高次脳機能障害について、これまで数多く取り扱っており、適切な等級認定や裁判基準での賠償解決を行ってきました。

当事務所では、治療の初期段階から適切な後遺障害の認定に向けて、必要な治療・検査・資料の収集をアドバイスすることができます。

実際、一度は他の事務所に依頼された方で高次脳機能障害が否定された方について、調べたら意識障害に関する資料が欠如していた(実際は意識障害があったのに「なし」という診断書のまま被害者請求されていた)ので、当事務所で意識障害についての書面を新たに作成したというケースもありました。

 

5 早期にご依頼いただくことで適切な後遺障害等級の認定可能性が上がります

高次脳機能障害の後遺障害等級認定においては、以下の要件を満たすことが重要です。

┃① 脳挫傷、びまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫等の脳損傷に関する傷病名がついていること

┃② ①の脳損傷がCTやMRI画像で確認できること

┃③ 事故直後から一定程度の意識障害があること

 

とりわけ、③については、早期に意識障害に関する意見書を作成する必要があります。

高次脳機能障害は、その程度に応じて1級から9級が認定されますが、適切な等級認定を受けるためには、必要な検査・適切な資料を集めることが重要です。

高次脳機能障害では、ご家族の方が、事故前と事故後の被害者の様子の変化を記載する日常生活状況報告書というものがありますが、これについても作成のポイントがあります。ただ闇雲に書けばいいというものではありません。

こうした資料は一度作成されて保険会社に提出してしまったら訂正が困難ですので、早期にご依頼いただくことによって、間違った資料を作成しないようにアドバイスをいたします。

 

6 示談交渉と訴訟(適切な手段で適切な額を)

可能な限り脳や身体の状態が回復されるに越したことはありません。
しかし、治療の甲斐なく、遷延性意識障害や高次脳機能障害で高度の後遺障害が認定された場合、残念ながら、あとはいかに多くの金銭賠償で将来を賄うかということを考えざるを得ません。

被害者の介護が必要な場合、ご家族にとっても金額が少なかったら将来の不安が消えないと思います。請求できる費目を漏れなく、しかも正しく計算することはもとより、そうした費目をいかに立証できるかということも重要です。

高度後遺障害の場合、賠償額も数千万から億単位の多額になることが多いため、少しの見通しの違いで結論に大きな差が出ることも少なくありません。

訴訟をすれば、多くのケースでは交渉時よりも賠償額が上がりますが、場合によっては自賠責で認定された等級よりも低くなる可能性もあり、また、事前の交渉時の提示額と比べてほとんど上がらなかったり、むしろ低くなる可能性もあります。

後遺障害等級、過失割合、将来介護費、逸失利益、休業損害、基礎収入、家屋改造費などの様々なファクターについて、立証の難易度を考慮の上、どの程度の額・内容なら示談に応じてもいいのか、それとも裁判をしたほうが良いのかといったリスクとメリット・デメリットを事前に精査してお伝えいたします。

そして、事案に応じて、示談交渉・紛争処理センター・調停・訴訟提起の中から適切な手段をご提示いたします。

 

7 出張相談(無料です)

頭部外傷(脳損傷)を負われた被害者の方は、入院中であったり、車いすなどの身体能力的な理由で当事務所までお越しいただくことが困難なケースもあると思われます。
また、ご家族の方も病院から離れることが難しいかと思われます。

そうした被害者やご家族のご負担を軽減させるため、当事務所では、遷延性意識障害や高次脳機能障害を負われた被害者やそのご家族の方に対して、無料で出張相談を行っています。

病院やご自宅で直接被害者やそのご家族にお会いすることで、被害者の方の状態を正しく把握し、日常生活で困っている点などをダイレクトにお伺いすることができますので、むしろ、出張相談は必須とさえ考えています。
ただし、出動範囲は原則として兵庫県又はその周辺都道府県、またはJR三ノ宮駅を起点に片道3時間以内の距離に限りますので、詳しいことは一度お問い合わせください。

 

8 初回相談は無料です。頭部外傷の継続相談も原則無料です。

当事務所では、被害者やそのご家族の方に安心してご相談いただけるように、交通事故の初回相談は無料で行っています。

また、頭部外傷(脳損傷)を負われた方やそのご家族の方の不安を少しでも軽減できるように、2回目以降のご相談も原則として無料で行っています。2回目以降のご相談は、お電話やメールでも受け賜っています。

 

9 弁護士報酬は後払い制です(着手金無料)

当事務所では、頭部外傷(脳損傷)を負われた被害者及びそのご家族の方の負担が少しでも軽くなるように、弁護士費用は成功報酬制となっています。

もし、加害者保険会社からまったく賠償金を獲得できなかったら、弁護士費用のご負担はありません。

なお、被害者の方の保険に弁護士特約が付いている場合は、当事務所の基準に基づいてその特約を使って着手金・報酬金を計算しますが、弁護士特約が使える場合であっても、事件解決まで被害者の方の弁護士費用のご負担はございませんのでご安心ください。

 

10 加害者の保険会社以外から受け取れる補償

① 労災保険

交通事故にあったのが通勤中や勤務中であれば、労災として、労災保険を受け取ることができます。例え、交通事故について示談が成立していても、時効(休業補償などで2年、後遺障害で5年)になっていなければ、労災からも一定額の休業補償と後遺障害一時金または年金を受給できる可能性があります。

 

② 障害年金

厚生年金や国民年金の保険料を支払っていれば、障害保険を受け取れる場合もあります。
障害年金は、原則として、受傷時から1年6ヶ月が経過してから、申請することになります。他方、1年6ヶ月の期間内に症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った場合等は、例外的に、その日から申請することが可能です。

 

③ 精神障害者者保健福祉手帳や身体障害者手帳

交通事故によって生じた精神障害が重度である場合は、精神障害者保健福祉手帳を取得でき、また重度心身障害者医療費助成制度等による国の手厚い補償を受けことができます。その他、身体に何らかの障害が残ってしまった場合は、身体障害者手帳を取得できます。

 

脳挫傷で遷延性意識障害になり、「神経系統の機能に著しい障害を残し、常に介護を必要とするもの」として自賠責後遺障害等級別表第一第1級1号が認定された事例

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